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労働対策コラム

労働審判における解決金の相場と減額方法を弁護士が解説

労働審判における解決金の相場と減額方法を弁護士が解説

労働審判では、解決金を支払ってでも早期に終結させた方がいいケースがあります。とはいえ、どの程度の解決金が妥当かわからない方も多いでしょう。
労働審判における解決金の金額はトラブル内容や当事者の方針によってケースバイケースであり、明確な相場はありません。たとえば、解雇の有効性を争われた場合にはバックペイの金額、残業代紛争の場合は未払い金額などが目安になります。
解決金の額を抑えるには、入念に準備をして、会社の主張が正当だと示すのが有効です。相場を知らずに安易に妥協すると後悔しかねません。
今回は、労働審判における解決金の相場や支払うメリット、減額するためのポイントなどを解説しています。従業員との労働審判に直面している会社の経営者や人事労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
そもそも労働審判とは何かについては、以下の記事で解説しています。
参考記事:労働審判とは?メリット・デメリットや訴訟との違いを解説

労働審判の解決金の相場


弁護士
岡本 裕明
調査結果によると、労働審判における解決金額の平均値は約285万円、中央値は150万円です。内訳を見ると、50万円から300万円が8割近くを占めています(参考:労働審判及び裁判上の和解における雇用終了事案の比較分析|労働政策研究・研修機構)。
もっとも、労働審判に至る事情や当事者の姿勢は様々であり、解決金の額もケースバイケースといえます。解決金の明確な相場を示すのは難しいです。
ただし、争いのパターンによって解決金の額を決定する要素が存在します。不当解雇、未払い残業代、ハラスメントといった労働審判になりやすい紛争について、解決金を左右する要素や相場をご説明します。

不当解雇のケース

解雇の有効性は労働審判で非常に争いになりやすいです。労働者が復職を求めているとしても、多くのケースで最終的には金銭支払いにより解決します。
法律上、従業員を解雇するには「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」であると認められなければなりません(労働契約法16条)。解雇事案における解決金は、解雇の正当性によって大きく左右されます
解雇が無効と考えられるケースでは、解雇後の未払い賃金(バックペイ)に相当する金銭を支払わざるを得ません。金額としては、月給6〜12か月分程度、あるいはそれ以上になる場合もあります。従業員は裁判に移行して判決が下されればバックペイを受け取れる以上、低い金額では納得してくれないでしょう。
解雇が正当なケースでは、本来であれば会社は金銭を支払う必要はありません。とはいえ、早期終結のために月給0~3ヶ月分程度の解決金を支払う場合もあります。
どちらともいえず解雇の有効性が微妙なケースでは、裁判で不利な判決が出るリスクを双方が考慮し、譲歩した結果として金額が決まります。
不当解雇の事案においては、バックペイの金額が解決金を決める大きな要素です。ただし、解雇に至る経緯によっては慰謝料が発生し、解決金額が大きくなる場合もあります。他にも、従業員の復職意思の有無や強さも影響を与えます。
解雇について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
参考記事:解雇とは?退職勧奨とは?両者の違いや注意すべき点を会社側弁護士が解説

未払い残業代請求のケース

未払い残業代請求で労働審判が申し立てられるケースも多いです。
残業代紛争の場合には、実際に認められる残業代の金額が解決金を大きく左右します。たとえ未払い分があっても、従業員が請求している全額が認められるわけではありません。根拠となる証拠を揃えたうえで、会社として正当と考える金額を主張していく必要があります。
残業代については、以下の記事をご覧ください。
参考記事:未払い残業代を請求されたら?リスクや対処法を弁護士が解説

セクハラ・パワハラのケース

セクハラ・パワハラといったハラスメントについて、会社の責任を追及するために従業員が労働審判を申し立てるケースもあります。
ハラスメント事案では、態様や被害、会社の責任が問題です。悪質な事案で会社の責任も大きいと認められるケースでは、高額の解決金を支払う必要が生じます。裁判になった際の見通しを考えると、証拠の有無や中身も重要です。
セクハラ・パワハラについては以下の記事をご覧ください。
参考記事:セクハラ・パワハラとは?会社が負う責任やとるべき対策を解説

労働審判で解決金を支払うメリット


弁護士
岡本 裕明
「そもそも従業員が悪いのにお金を払うのは納得がいかない」という方もいらっしゃるでしょう。トラブルの原因が労働者にあるのであれば、解決金を支払いたくないと感じるのはもっともです。
ただし、解決金を支払って争いを終わらせた方が結果的に会社に都合がいい場合もあります。労働審判で解決金を支払うメリットをご紹介します。

参考記事:労働審判が会社に与えるダメージとは?軽くする方法も解説

早期に紛争から解放される

解決金を支払うメリットは、紛争を終結させられる点です。
労働審判で解決せずに訴訟に移行すると、年単位の時間を要する可能性があります。裁判所での争いは思いのほかエネルギーを使うため、社内で対応にあたっている経営者や従業員の負担が大きいです。他の従業員のモチベーションに影響が及ぶケースもあるでしょう。
金銭を支払って労働審判で解決すれば、早期に紛争から解放され、本来の業務に集中できます。たとえ会社の主張が認められず譲歩を強いられるとしても、争いが終わるメリットは大きいです。

負担額を下げられる

労働審判で解決金を支払ってしまった方が、結果的に負担額を抑えられる可能性があります。
労働審判で解決せず訴訟に移行すると多大な時間を要するため、敗訴した際のバックペイや遅延損害金の額が大きくなります。会社の主張が認められなさそうなケースでは、早めに解決金を支払う方が金銭的負担は少ないです。見通しがはっきりしないケースでも、多額の支払いを強いられるリスクを考慮すると、解決金を支払ってしまった方が支出が少ないかもしれません。

解雇後の復職を避けられる

解雇紛争では、従業員が復職を求めるケースがあります。従業員側の主張が裁判所に認められると、最終的に会社は復職に応じなければなりません。しかし、当該従業員の雇用を継続すれば、再度トラブルを起こすリスクもあります。
解決金を支払って退職に応じてもらえば、復職される心配はありません。復職した際の会社や他の従業員へのマイナスの影響を考えると、金銭的負担を受け入れるメリットはあります。

労働審判の解決金の金額を抑えるためのポイント


弁護士
岡本 裕明
解決金を支払うのは仕方ないにしても、できれば金額を抑えたいでしょう。金額を抑えるには、入念に準備し、安易に妥協しないのが重要です。
解決金の金額を抑えるためのポイントを見ていきましょう。

入念に準備する

解決金の額を抑えるには、労働審判までに入念な準備をするのがポイントです。
労働審判は迅速に進む手続であり、第1回期日までで裁判所側が心証を固めます。したがって、証拠収集や主張整理、答弁書作成などの事前準備をいかにしっかり行うかが重要です。会社の主張が正しいと思わせれば裁判所が味方になってくれるため、結果的に解決金も低く抑えやすくなります。
第1回期日までの準備の中でもとりわけ重要なのが、答弁書の作成です。労働審判の答弁書については、以下の記事をお読みください。
参考記事:労働審判の答弁書の書き方|提出期限に間に合わないとどうなる?

安易に妥協しない

早めに解決したいからといって、安易に妥協するのはオススメできません
実際の労働審判では、会社の主張が正しくても、一定の譲歩を迫られる場合があります。もちろん、早期解決のために、ある程度妥協するのもひとつの方法です。とはいえ、本来よりも労働者に有利過ぎる結論になれば、必要以上の金銭的負担が生じるだけでなく、心理的にも納得がいかないでしょう。相手が歩み寄ってこない状況で、相場からかけ離れた解決金の支払いに応じないように気をつけてください。

弁護士に依頼する

労働審判に慣れていない会社が、事前準備を迅速かつ適切に進めるのは難しいです。期日においても、相場や見通しがわからなければ、解決金の支払いに応じていいか判断できないでしょう。
そこで、労働審判の対応を弁護士に任せるのがオススメです。答弁書の作成をはじめとする事前準備期日当日の同席を依頼できます。弁護士費用はかかりますが、結果的に解決金を抑えやすくなります。弁護士に任せれば、対応に割かれる会社の負担が軽減される点もメリットです。
実際に、労働審判では多くの企業が弁護士をつけて対応しています(参考:労働審判事件の代理人選任状況(地裁)|日本弁護士連合会)。前向きにご検討ください。

労働審判を申し立てられたら弁護士にご相談ください


弁護士
岡本 裕明
労働審判では、特に弁護士に依頼する必要性が高いです。お早めにご相談ください。

ここまで、労働審判における解決金相場や、金額を抑える方法などを解説してきました。
解決金に明確な相場はなく、事案に応じて妥当な金額は異なります。見通しをつけて適切に対応するために、弁護士の力を借りましょう。

労働審判を申立てられてお困りの方は、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください
当事務所は、会社の経営者や人事担当者の皆様の味方です。ご依頼いただいた際には証拠収集から答弁書の作成、期日への同席などで全面的にサポートいたしますので、相場から大きく外れた解決金を支払わずにすみます。
「起きているトラブルでの解決金相場を知りたい」という会社関係者の方は、お早めに弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください。

岡本裕明
記事の監修者
岡本裕明
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
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