労働基準監督署への対応にお悩みでしょうか?
労働基準監督署(労基署)は、労働関係の法令を会社が守っているかをチェックする行政機関です。企業への調査や指導など、強い権限を有しています。
労働基準監督署による調査・指導・是正勧告には、誠実に対応しなければなりません。誤った対応をすると、刑事罰を科されたり、社会的評価が低下したりするリスクがあります。
今回は、労働基準監督署への対応について解説しています。労働基準監督署の調査等にどう対処すればいいかわからずお困りの企業の経営者や人事労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
労働基準監督署(労基署)は、労働関係の法令を会社が守っているかどうかをチェックする行政機関です。厚生労働省の出先機関として各都道府県に労働局が置かれ、さらに労働局管内に労働基準監督署が設置されています。全国で321箇所存在します。
確認の対象となる代表的な法令は、労働基準法です。たとえば、労働時間規制が遵守されているか、残業代は法令通り支払われているかなどをチェックします。安全衛生や労災も労働基準監督署の管轄です。
主な業務内容としては、届出の受付や労働者からの相談への対応、企業への監督指導などが挙げられます。労働者保護のため、企業が労働法規を守るよう活動している重要な機関です。
労働基準監督署長は、臨検(立ち入り調査)、尋問、許可、認定、仲裁などの権限を有しています(労働基準法99条3項)。実際に現場で稼働する専門職である「労働基準監督官」には、立ち入り調査を実施し、書類の提出を求めたり尋問をしたりする権利が与えられています(労働基準法101条1項)。
さらに、労働基準監督官は労働基準法違反の罪について警察官と同様の行為が可能です(労働基準法102条)。たとえば、逮捕、差押えなどの強制的な行為が認められています。
このように、労働基準監督署・監督官は労働法規の実効性を確保するために強大な権限を有しています。
労基署が行う臨検(立ち入り検査)には、大きく分けて以下の種類があります。
「労働者の通報により調査が入る」とのイメージをお持ちかもしれません。実際には、大半の場合は計画に基づいてなされる定期監督です。特に労働者の申告や労働災害の発生などのきっかけがなくても、立ち入り検査がなされる可能性はあります。
一般的には、労働時間が長くなりやすい業種や労災が発生しやすい業種が対象になる傾向にあります。
(参考記事)
調査に入るときは、事前連絡があるケースと抜き打ちのケースがあります。
いずれにせよ、検査の際には様々な書類がチェックされます。たとえば以下の書類です。
書類の提出のほか、事情聴取なども行われます。
もちろん、書類の改ざんや虚偽報告は許されません。調査拒否や虚偽報告には罰則が科される可能性もあります(労働基準法120条5号・104条の2)。
調査を知ってから慌てて準備するのではなく、日頃から法令遵守を心がけるのが何より重要です。
調査の結果、法令違反が発覚した場合には、是正勧告や指導票による改善指導などがなされます。
是正勧告等があったときは、内容に応じて状況を改善し、報告書を提出する必要があります。必ず期限までに提出してください。
たとえ違法状態が見つかっても、改善・報告さえすれば重い責任は問われません。しかし、無視していると再調査がなされる、より悪質な場合には刑事事件として送検されるといったリスクがあります。問題を指摘された際には誠実に対処しましょう。
ここまで、労働基準監督署への対応のポイントを中心に解説してきました。
労働基準監督署は、労働関係の法令を会社が守っているかをチェックする役割を担う機関です。違反行為の有無を確かめるために、企業に立ち入り調査を行うケースがあります。
とはいえ、過度におそれる必要はありません。日頃から法令遵守を心がけていれば、深刻な問題は生じていないはずです。法令違反を指摘されたときは、改善・報告を確実に行いましょう。無視や虚偽報告をせずに、誠実に対応するのが重要です。
労働基準監督署への対応にお悩みの方は、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください。
当事務所は、会社の経営者や人事労務担当者の皆様の味方です。ご相談いただければ、調査への対応方法のアドバイスをいたします。ご依頼いただいた際には調査への立会いも可能です。事前対策だけでなく、再発防止もサポートいたします。
「労働基準監督署への対応が不安」という方は、お気軽に弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください。