労働審判の申立書が届き「答弁書はどう書けばいいのか」とお悩みでしょうか?
労働審判では、答弁書の持つ意味が非常に大きいです。会社の主張を漏らさず、かつ法的に意味がある形で記載する必要があります。期日前に裁判所側に主張を理解してもらうために、必ず提出期限は守るようにしましょう。
今回は、労働審判における答弁書の書き方や、提出期限に間に合わないとどうなるかなどを解説しています。従業員・元従業員から労働審判を申立てられた会社の経営者や人事・労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
労働審判の答弁書は、申立書に対する反論をまとめた書面です。
申立書には労働者側の言い分が記載されていますが、会社として納得がいかない部分や、事実に誤りがあると考える部分もあるでしょう。答弁書には、認める部分と争う部分をはっきりさせ、会社の主張を裁判所側に示す意味があります。
答弁書の内容は、労働審判の結果を大きく左右します。
労働審判は、労使関係の紛争を迅速に解決するための手続きです。そのため、原則として3回以内の期日で審理を終結させるとされています(労働審判法15条2項)。期日が3回まであるといっても、裁判所側の心証は第1回期日までに形成されます。
労働審判を会社に有利に進めるには、答弁書の中身が重要です。説得力のある答弁書を提出すれば、第1回期日の前に「会社の言い分の方が信用できる」との印象を与えられます。結果として、期日において提案される調停案や、最終的に下される労働審判が会社に有利な内容となりやすいです。
反対に、答弁書の中身が不十分であれば、労働者に有利に進んでしまいます。「説得力のある答弁書を作成できるかどうかが労働審判の行方を決める」といっても過言ではありません。
申立書には労働者が求める最終的な結論が記載されており、「申立ての趣旨」と呼ばれます。たとえば「雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する」「〇〇万円を支払え」といった内容です。
答弁書では、申立ての趣旨に対して、会社が求める結論を記載します。この項目では細かい反論はせず、「本件申立てにかかる請求をいずれも棄却する」などと端的に記載するのが通例です。
申立書には、請求を根拠づける事実が書かれています。答弁書では、労働者が主張する事実ごとに、認めるか否かを記載しなければなりません。認否を明らかにすることで、争いになっている点を明確にする意味があります。
会社として存在を認める事実については「認める」、認めない事実については「否認する」と示します。存否がわからない事実に対しては「不知」としてください。「否認」「不知」とした事実が争いの対象になります。なお、事実ではない法的な評価に対しては「争う」と記載するのが通例です。
争いになる箇所をはっきりさせるために、どの部分に対する認否なのかが明確になるようにしてください。特に、認めた事実は存在するものとして審理が進むため注意が必要です。認否は正確に行いましょう。
会社が求める結論に至る理由を説明する項目です。会社の主張と根拠を示す部分ですので、答弁書の中で特に重要な箇所になります。
ただ事実や主張を並べるだけだと、裁判所側にうまく伝わりません。時系列に沿って事実を整理し、会社の行為が法的に正当であったと示す必要があります。
労働審判において争点になると考えられるポイントや、争点に関連して特に重要な事実を記載します。
事実とともに、証拠も示しましょう。証拠には「乙1」「乙2」などと番号をつけます。どの事実を裏付ける証拠であるかの対応関係がわかるように、答弁書では証拠番号を引用してください。
労働審判の申立てに至るまでに行われた交渉の日付や内容を記載してください。
申立てに至る経緯は、解決の方向性を決めるにあたって参考にされます。申立書にも記載されていますが、会社の立場から交渉内容を伝えましょう。
労働審判の答弁書の提出期限は、第1回期日の1週間〜10日前程度に指定されます。原則として第1回期日は申立てから40日以内に指定されるため、会社側が申立てを知ってから提出期限までは長くても1ヵ月程度しかありません。事実関係を調べて書面を作成するには、1ヵ月という期間は短いです。
とはいえ、提出期限は必ず守ってください。提出が遅れると、裁判官や労働審判員が答弁書を読んで検討する時間がとれず、会社の主張が伝わらない状態で第1回期日を迎えてしまいます。結果的に、会社にとって不利な形で審理が進むリスクが高いです。
特に、労働審判員には答弁書や証拠がすぐに届かない可能性があります。万が一間に合わないとしても、1日でも早く提出するようにしてください。
答弁書においては、会社の主張をただ挙げればいいわけではありません。事実を整理して法的要件に沿って記載し、裏付ける証拠も用意する必要があります。
弁護士に依頼すれば、主張を的確に伝える答弁書を作成できます。前述の通り、第1回期日までに方向性が決まる労働審判においては、答弁書の持つ意味が大きいです。弁護士に中身のある答弁書を作成してもらえば、有利な結論に至る可能性を高められます。
多くの会社は労働審判に慣れておらず、裁判所での手続きに不安をお持ちではないでしょうか。時間がタイトな中で会社だけで準備を進めると、経営者や担当者にストレスがかかりやすいです。
弁護士がついていれば、答弁書の作成だけでなく、その他の準備や期日当日のサポートも受けられます。時間がない中でも安心して対応を任せられるので、不安やストレスが大幅に軽減されるはずです。
ここまで、労働審判において答弁書が持つ意味、記載内容、提出期限などについて解説してきました。
進行が早い労働審判では、答弁書の内容が結果を大きく左右します。必要事項をわかりやすく記載した答弁書を期限内に提出し、有利に進めるようにしましょう。
労働審判を申立てられてお困りの方は、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください。
当事務所は、会社の経営者や人事担当者の皆様の味方です。ご依頼いただいた際には、答弁書の作成はもちろん、事前準備、期日への同行など、全面的にサポートいたします。
「労働審判を申立てられた」「答弁書の書き方がわからない」などとお悩みの会社関係者の方は、お早めに弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください。