「労働組合から団体交渉を申し入れられた」とお困りでしょうか?
突然知らない組合から交渉を申し入れられたとしても、法律上は多くのケースで応じる義務があります。相手はプロであり、団体交渉に慣れていないと適切な対応は困難です。
組合を軽く見ていると違法な行為(不当労働行為)をしてしまうリスクがあります。反対に、組合を過度におそれて不当な条件を受け入れてしまうのもいけません。
法律は守りつつも組合のペースに飲まれないためには、弁護士に相談・依頼するのが効果的です。弁護士に依頼すれば、初動対応や事前準備のサポートを受けられ、交渉当日には同席してもらえます。たとえ労働委員会や裁判所での争いになっても、スムーズな対応が可能です。
今回は、団体交渉を弁護士に依頼するメリットや弁護士ができることを解説しています。労働組合から団体交渉を申し入れられた企業の経営者や人事・労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
団体交渉を弁護士に依頼すると、以下のメリットがあります。
団体交渉において、まず注意すべきなのは不当労働行為です。弁護士に依頼することで、不当労働行為に及ぶことを避けることができます。
不当労働行為とは、会社が労働組合や労働者にしてはならない行為として、法律上定められている一定の類型の行為をいいます。
不当労働行為の類型は以下の通りです。
・不利益取り扱い(例:組合員であることを理由に解雇する)
・団体交渉拒否(例:交渉に応じない、中身のある交渉をしない)
・支配介入(例:組合に批判的な発言をする、組合をやめるよう説得する)
特に気をつけるべきなのが団体交渉拒否です。労働組合からの申し入れを最初から無視する場合はもちろん、形式的に出席したものの誠実に交渉しない場合も該当します。
不当労働行為をすると、組合側から労働委員会に救済申し立てがなされるなど、争いが長引くリスクが高まります。しかし、不当労働行為に該当するかを判断するのは容易ではありません。会社側が何の問題もないと考えてした言動について、組合側から問題視されるケースも多いです。
団体交渉に強い弁護士がついていれば、不当労働行為を回避できます。知識不足により違法行為をする事態を避けられるのは、弁護士に依頼するメリットのひとつです。
団体交渉拒否や不当労働行為全般については、以下の記事で詳しく解説しています。
・団体交渉は拒否できる?正当な理由が認められるケースも解説
・不当労働行為とは?類型や具体例・会社側のリスクをわかりやすく解説
弁護士に依頼すれば、組合側のペースで交渉が進むのを防げます。
労働組合は団体交渉のプロです。自らに有利になるように、事前折衝から交渉当日まで、ありとあらゆる方法を使ってきます。無理な要求を突きつける、交渉に大勢の組合員が押しかけるといった形で、圧力をかけてくるかもしれません。
挑発に乗って会社側の出席者が感情的になると、不当労働行為をしてしまうリスクが高まります。とはいえ、反対に会社が委縮し、要求をすべて受け入れてしまえば相手の思うつぼです。いずれにしても、団体交渉に慣れていない担当者が正しい対応をするのは容易ではありません。
団体交渉に強い弁護士がついていれば、冷静に、落としどころをみすえた交渉ができます。もちろん、会社が応じられない要求は毅然とした態度で拒否します。
ひとたび必要以上の妥協をしてしまうと、組合の要求は際限なく拡大するでしょう。会社の主張を適切に伝え、組合が増長するのを防げるのも、弁護士に依頼するメリットです。
団体交渉で会社がやってはいけないことは様々あります。以下の記事をご覧ください。
・団体交渉でやってはいけない対応|やってしまったらどうなるかも解説
会社側が気をつけていても、弁護士がついていても、組合側の対応がエスカレートする事態は生じ得ます。
たとえば、交渉がうまくいかず、労働委員会や裁判所の場に争いが持ち込まれるケースがあります。ビラ配りや街宣活動といった実力行使に出られる可能性もゼロではありません。
弁護士であれば、訴訟などで代理人として活動できます。組合側が違法行為に及んだ際には、状況に応じた法的手段をとることも可能です。社労士など他の士業ではできない行為であっても、弁護士は幅広く対応できます。団体交渉をまとめることができなかった場合に、その後の手続についても引続き任せることができる点も、団体交渉を弁護士に任せる大きな利点となるでしょう。
団体交渉の流れ・進め方を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
・団体交渉の進め方|事前準備から当日までの流れを会社側弁護士が解説
団体交渉は、組合から申入書が届いて始まります。まずは回答書を作成しなければなりません。その後、交渉の日時・場所などを調整します。
弁護士に依頼すれば、回答書の作成や事前調整が可能です。日時・場所・出席者の人数などについて、相手のペースにならないよう事前折衝ができます。前提として、そもそも法律上交渉に応じる義務があるかも判断します。
事前調整と並行して、交渉の準備も行います。
組合の要求事項によって、事前の事実調査が必要です。判明した情報を踏まえて、要求を拒絶するのか、どの程度であれば要求に応じられるかの方針決定をお手伝いさせていただくことも可能です。弁護士は、法律知識や他の事例の経験から、裁判になればいかなる判断がくだされるかなどを見通せますから、そのような見通しを前提とした落としどころを御提案させていただくことが可能です。
経験のない担当者だけでは、正確な事実調査や方針決定は難しいです。弁護士としての専門的な知見を活かして準備をサポートいたします。
交渉当日の同席も可能です。
当日は何が起こるかわかりません。いきなり要求事項が増える、怒号が飛ぶ、決断を迫られるといった事態も想定されます。弁護士がその場にいれば、不当労働行為を避けつつ、不用意な約束や譲歩をせずに冷静に交渉に臨めます。
もし団体交渉がまとまらず訴訟などに発展しても、弁護士は代理人として活動できます。
他の士業では可能な業務が限られており、基本的に訴訟等の代理人にはなれません。普段お世話になっている社労士の先生がいたとしても、団体交渉対応は弁護士に依頼するのがオススメです。
問題が解決した後のアフターフォローもお任せください。
従業員や組合と争いが生じる背景として、社内体制に何らかの問題が潜んでいる場合も多いです。残業時間の管理が不十分だった、問題社員への対処が不適切だったなど、原因は様々考えられます。必要に応じて、問題点を見極めたうえで、今後の紛争を予防するお手伝いもいたします。
ここまで、団体交渉を弁護士に依頼するメリットや弁護士ができることを解説してきました。
弁護士がつけば、不当労働行為を避けつつも、組合のペースに巻き込まれずに会社としての主張を伝えられます。初動から事前準備、交渉当日、訴訟対応まで、弁護士は様々な場面でサポートいたします。
団体交渉を申し入れられた際には、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください。
当事務所は、会社の経営者や人事担当者の皆様の味方です。皆様に寄り添って、法的アドバイスや各種対応をすることをお約束いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。