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労働対策コラム

合同労組(ユニオン)とは?団体交渉を申し入れられたら?

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合同労組(ユニオン)とは?団体交渉を申し入れられたら?

合同労組(合同労働組合)とは、所属する企業に関係なく、個人で加入できる労働組合です。ユニオンとも呼ばれます。
近年、従業員が合同労組に駆け込み、企業に団体交渉を申し入れる事例が目立つようになっています。未払い残業代や解雇無効など、個人的な要求をするケースが多いです。
会社が存在を知らない合同労組であったとしても、労働組合である以上、原則として交渉には応じなければなりません。圧力に負けて不当な要求を受け入れることのないよう、団体交渉を申し入れられた際の対処法を知っておく必要があります。
今回は、合同労組の特徴や団体交渉を申し入れられた際の対応について、会社側弁護士の立場から解説しています。合同労組から突然団体交渉を申し入れられてお困りの企業経営者や人事労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。

合同労組(ユニオン)とは?


弁護士
岡本 裕明
合同労組(ユニオン)とは、所属する企業や雇用形態にかかわらず、個人で加入できる労働組合です。企業内組合の存在感が低下する中で、合同労組の活動が目立つようになっています。
まずは、合同労組の特徴など基本的な知識をご説明します。

個人で加入できる労働組合

合同労組(合同労働組合)は、所属する企業や雇用形態に関係なく、労働者が個人で加入できる労働組合をいいます。ユニオンとも呼ばれ、「〇〇ユニオン」という名称のものが多いです。
従来わが国では、労働組合は企業ごとに組織されるものがメインでした。そのため、労働組合といえば企業別組合をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、組合に加入する労働者の割合は年々低下しています。2023年の推定組織率は16.3%に過ぎません(参考:令和5年労働組合基礎調査の概況|厚生労働省)。
加えて、企業別組合は会社と協調的な関係にある場合が多いため、企業別組合と会社との間でトラブルとなることは少なくなっています。反対に、所属する企業に関係なく加入できる合同労組に従業員が相談し、企業と対峙する事例が目立つようになりました。

合同労組の特徴

合同労組の特徴としては以下が挙げられます。

地域単位で組織される

企業ごとに組織される企業別組合とは異なり、合同労組は主として地域単位で組織される点が特徴です。「東京ユニオン」のように、地域の名称を冠している組合が多いです。「ユニオン」とついていれば、合同労組であるとお考えください。

個人で加入できる

合同労組は、所属している企業に関係なく、個人で加入できます
そのため、勤め先に組合がない労働者が「駆け込み寺」のように相談し、加入する場合が多いです。組合側も、インターネット上で相談を呼びかけるなど、労働者がアプローチしやすいようにしています。
当該企業の従業員しか加入できない企業別組合では、所属する組合員全体の労働条件について会社と交渉するのが主な役割です。対して、個人で加入できる合同労組では、所属する組合員の中で労働条件は区々ですから、従業員の個人的な要求が会社に突きつけられるケースが目立っています。

中小企業の従業員が組合員になる

合同労組においては、中小企業の従業員が組合員になりやすいです。
中小企業では、大企業と比べて組合の組織率が低くなっています。推定組織率を企業規模別に見ると、1000人以上の企業では39.8%、100~999人では10.2%、99人以下では0.8%です(参考:令和5年労働組合基礎調査の概況|厚生労働省)。
中小企業では社内に組合がないために、従業員は所属企業に関係なく加入できる合同労組を頼っていると考えられます。社内で複数の従業員が同じ合同労組に加入し、支部を結成しているケースもあります。大企業の社員が合同労組に加入する場合もありますが、合同労組への対応に悩まされているのは、主に中小企業です。

雇用形態を問わない

合同労組には雇用形態に関わらず加入できます。
契約社員、パート、派遣労働者といった雇用形態では、企業別組合の組合員になれない場合があります。合同労組では雇用形態に関係なく加入資格があるため、非正規従業員でも加入しやすいです。
他にも、社内の組合で組合員になれない管理職が、外部の合同労組に加入しているケースがあります。様々な人が加入できる点に、合同労組の特徴が認められます。

よくある紛争類型

合同労組は個人で加入できるため、団体交渉で会社に要求する事項も個人的なものである場合が多いです。
議題の例としては以下が挙げられます。
・未払い残業代
解雇無効
・ハラスメント(セクハラ、パワハラなど)
こうした個人的な要求であっても、基本的に会社は交渉に応じなければなりません。

合同労組(ユニオン)に団体交渉を申し入れられたときの対処法


弁護士
岡本 裕明
「いきなり合同労組に団体交渉を申し入れられ、どうすればいいかわからない」という声を最近よく耳にします。
たとえ知らない団体だとしても、労働組合であれば交渉そのものには応じる必要があります。もっとも、交渉の日時・場所などの条件については、組合の言うとおりにする義務はありません。不当な要求は拒絶し、相手のペースで進められないようにするのが重要です。

団体交渉の一般的な進め方、してはいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。合わせて参考にしてください。
団体交渉の進め方|事前準備から当日までの流れを会社側弁護士が解説
団体交渉でやってはいけない対応|やってしまったらどうなるかも解説

拒否しない

特に知っておいて欲しいのが、団体交渉は原則として拒否できない点です。
労働組合からの団体交渉の申し入れは、正当な理由がない限り拒否できません(労働組合法7条2号)。企業内組合ではない、合同労組についても同じです。
団体交渉の拒否は、不当労働行為として違法になり、労働委員会や裁判所の場へと争いが拡大するリスクがあります。たとえ知らない団体であっても、労働組合である以上、決して無視はしないでください。
以下の判例でも、合同労組からの団体交渉申し入れを拒否すれば不当労働行為になると示されています。

中外臨床研究センター事件判決(東京高裁平成28年1月14日

【事案の概要】

組合員の雇用継続等を理由とする、合同労組からの団体交渉の申し入れに会社が応じなかった。会社側は「労働組合法上の労働組合は、使用者である会社の従業員が主体となっている労働組合に限られるから、不当労働行為には該当しない」などと主張した。

【結論】

合同労組であっても労働組合法上の労働組合にあたり、会社の団体交渉拒否は不当労働行為に該当する。

他にも、次の理由で団体交渉を拒否するのは基本的に認められません。
従業員は既に退職している
組合員名簿を提出しない
最初から交渉に応じなければ、不当労働行為に該当すると考えておいた方がよいでしょう。さらに、交渉のテーブルに形だけついていても、回答の具体的根拠を示さないなど中身のないやりとりに終始していると、不当労働行為と判断されます。
ですから、独断で交渉を拒否しないようにしてください。団体交渉拒否について詳しくは、以下の記事で解説しています。
団体交渉は拒否できる?正当な理由が認められるケースも解説

日時・場所などを事前に調整する

申入書で日時・場所などを指定されていても、応じる義務はありません。組合側に一方的に有利にならないよう、調整しましょう。
日時については、会社が事前準備をするために一定の時間を確保する必要があります。場所も、組合が求める会社内部や組合事務所よりも、外部の会議室の方が望ましいです。また、組合員が大勢押しかけるのを避けるために、出席者の人数を3~5名程度に制限するのがよいでしょう。
いずれについても、事前折衝をして組合側と調整するべきです。提示されたままの条件で交渉に臨まないようにしてください。

当日の注意点

交渉当日は、組合が様々な手段をとってきます。特に以下の点に注意してください。
・強い口調で責められてもひるまない
不用意な発言は控え、不当労働行為に該当すると主張されるのを防ぐ
・安易に約束しない、最終的な合意事項以外にはサインしない
要求に応じる義務はない
組合を軽視する態度は慎む必要がありますが、不当な要求を受け入れる義務はありません。感情的にならず、冷静に臨むよう心がけてください。

合同労組(ユニオン)への対応にお困りの方は弁護士にご相談ください


弁護士
岡本 裕明
いきなり知らない組合から交渉を申し込まれ、お困りかと思います。相手は団体交渉のプロです。無理して自力で対応しようとせず、弁護士にご相談ください。

ここまで、合同労組とは何か、団体交渉を申し入れられたらどうすればいいかを解説してきました。
改めてお伝えさせていただきますと、合同労組(ユニオン)は、会社に関係なく個人で加入できる労働組合です。近年、会社とのトラブルを従業員が合同労組に持ち込み、団体交渉を申し込むケースが増えています。
交渉を申し入れられたら、無視はしないでください。合同労組を甘く見てはなりませんが、おそれ過ぎる必要もありません。会社としては、根拠をまじえつつ主張を伝えたうえで、不当な要求は拒むようにしましょう。

合同労組から団体交渉を申し入れられた際には、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください。
当事務所は、会社の経営者や人事担当者の皆様の味方です。皆様に寄り添って、交渉の事前準備見通しなど、様々な点につきアドバイスいたします。交渉当日の同席も可能です。
「知らない組合から団体交渉を申し入れられた」「どう対応すればいいかわからない」といった方は、お気軽に弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください

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岡本裕明
記事の監修者
岡本裕明
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
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