休職とは、従業員との雇用関係を維持しつつ、労働を免除・禁止する制度です。休業とは異なり従業員側に原因があるケースが多く、一般的に欠勤よりも長期間に及びます。
休業の主な理由は、ケガや病気です。近年は、うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調を理由とするケースが増えています。
休職中は原則として無給ですが、社会保険料は発生します。会社としては、各種手続きのほか、休職中の連絡や復職の判断などに注意が必要です。
今回は、休職について、欠勤や休業との違い、理由・種類、給与・社会保険料の扱い、会社の注意点などを解説しています。従業員の休職に直面している会社の経営者や人事労務担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
メンタルヘルス不調を抱えた従業員への対応全般については、以下の記事で解説しています。
参考記事:メンタルヘルス不調の従業員への対処法・防止策を会社側弁護士が解説

休職とは、従業員が業務できない状態であるときに、雇用関係を維持しつつ、会社が労働を免除あるいは禁止する制度です。
休職制度の存在により、本来であれば退職・解雇とならざるを得ないケースでも、従業員はひとまず仕事を休むことができます。人材を直ちに失わずにすむため、会社にとってもメリットがある仕組みです。
休職制度を設けることは、法的義務ではありません。もっとも、多くの会社では就業規則等で休職制度を規定しています。期間や要件、手続きなども社内ルールで決まっています。
就業規則について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
参考記事:就業規則とは?効力や記載事項、作成・変更方法を弁護士が解説
休職期間はケースバイケースです。労働者との合意や社内ルールに沿って決定されます。
一般的に、休職期間の上限は短くて3ヶ月、長くて2~3年程度です。勤続年数に応じて上限が変わる定めとなっている会社もあります。
休職期間が満了しても復職が困難なケースでは、就業規則のルールにしたがって、自然退職あるいは解雇となります。ただし、復職の可否の判断は難しく、トラブルになるケースも多いです。
参考記事:うつ病の従業員を解雇できる?パターン別に流れを解説
休職と欠勤・休業との違いがわからない方もいらっしゃるでしょう。
欠勤とは、就労する義務があるにもかかわらず、労働者の都合で業務をしないことをいいます。休職では労働が免除されるため、労働を提供する義務の有無が両者の違いです。一般的に、欠勤は突発的かつ短期間に、休職は計画的かつ長期間になる傾向があります。
休業とは、使用者の都合や法令の規定により従業員が会社を休むものです。主として労働者の個人的事情により休む休職とは異なります。法令に基づく休業の例としては、産前産後休業、育児介護休業などが挙げられます。

代表的なのが傷病休職です。業務外のケガや病気により、長期間にわたって業務遂行が困難になった場合になされます。
プライベートでの交通事故等によるケガ、ガンをはじめとする病気のほか、近年はうつ病・適応障害などのメンタルヘルス不調を原因とする場合も多いです。休職期間中に回復するかを見極め、復職が困難であれば自然退職または解雇となります。
なお、傷病休職の理由となるのは、業務外のケガ・病気です。業務を原因とするケガ・病気の場合には、労災の対象となるのはもちろん、原則として解雇できません(労働基準法19条1項)。特に精神疾患の場合には、業務を原因とするかが争いになりやすいです。
うつ病の労災認定基準については、以下の記事をご覧ください。
参考記事:うつ病は労災認定される?認定基準や会社の対応を弁護士が解説
休職の多くは傷病休職です。この記事では、特に断りのない限り、傷病休職を念頭に解説しています。
ケガや病気以外で、従業員都合による予期せぬ欠勤が続いたときの休職として、事故欠勤休職を規定している会社もあります。
事故欠勤休職の例としては、逮捕・勾留により出勤できないケースが挙げられます。
刑事事件で起訴され刑事裁判にかけられていることを理由とした「起訴休職」を定めている会社もあります。
起訴休職は、企業の信用維持や、処分の留保のための制度です。刑事裁判の結果が出た後に、改めて懲戒処分等がなされることが予定されています。
公職就任や留学などを理由とした休職が制度化されている場合もあります。まとめて「自己都合休職」とされている場合もあれば、それぞれ別の名前がついている場合もあり、会社により様々です。
ボランティアへの参加、資格取得、家族の海外赴任への帯同といった理由での休職を認めている会社もあります。
組合活動に専念するための「組合専従休職」もあります。
休職扱いにするのは、組合活動に専念している従業員に賃金を与えると、不当労働行為(労働組合法7条)として違法になるおそれがあるためです。
参考記事:不当労働行為とは?類型や具体例・会社側のリスクをわかりやすく解説
出向とは、会社に籍を残したまま他社で業務をすることです。出向は会社側の都合でなされますが、従業員は出向元の会社では休職扱いになるのが通常です。
参考記事:出向を拒否されたら?会社がとるべき対応を弁護士が解説

休職中は無給で構いません。労務を提供していない以上、給与を支払う必要はないためです(「ノーワーク・ノーペイの原則」)。
ただし、社内規定により給与等を支払うのは自由です。
なお、健康保険からの傷病手当金など、従業員が会社以外から手当を受け取れる場合もあります。
休職中であっても社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金)は発生します。しかし、賃金を支払っていない場合には、従業員負担分の社会保険料の天引きができません。
確実に支払いを受けるために、支払い方法をあらかじめ取り決めておく必要があります。

休職を決定するまでの手続きは確実に踏むようにしてください。
休職は法定の制度ではないため、まずは、手続きや要件、期間などの社内規定を確認しなければなりません。就業規則等のルールに従って進めましょう。
休職開始時には、労働者から申出があるケースと、会社が命令を出すケースがあります。従業員の様子や診断書などから要件を満たすか判断し、可否や期間を決定しましょう。
正式に決まったら、トラブル防止のために休職通知書などの書面で通知するようにしてください。
休職中であっても、定期的に連絡をとるようにしてください。従業員の会社への帰属意識を保つとともに、状況を把握し、復職の可否の判断材料とするためです。
連絡方法や頻度は、休職前に決めておきましょう。
メンタルヘルス不調による休職の場合には、電話でなくメールにする、業務の話は控えるなど、連絡の方法・内容には特に注意してください。
参考記事:うつ病の従業員を休職させる際の流れ・注意点を弁護士が解説
休職期間が満了した際には、復職の可否を慎重に判断しなければなりません。特にトラブルが発生しやすいポイントです。
従業員は、金銭的事情などから、無理に復職しようとする場合があります。診断書を提出させるだけでなく、必要に応じて主治医へのヒアリング、産業医との面談も行わせるようにしてください。
とりわけ精神疾患のケースでは、症状が明確にはわかりづらく、復職させてよいかの判断が難しい場合があります。以下の記事を参考にしてください。
参考記事:うつ病の従業員を復職させてよい?流れや判断基準・注意点を解説

ここまで、休職について、意味や種類、注意点などを解説してきました。
休職は、従業員との雇用関係を維持しつつ、労働を免除・禁止する制度です。様々な理由でなされますが、いずれにしても、社内ルールを確認したうえで慎重に進める必要があります。
従業員の休職についてお悩みの方は、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください。
当事務所は、会社の経営者や人事担当者の皆様の味方です。休職させるべきか、復職させてよいかなどの法的判断につき、状況に応じた最善のアドバイスをいたします。もちろん、既にトラブルになっている場合には、迅速に対応します。
従業員の休職に関して不安や困りごとを抱えている会社関係者の方は、お気軽に弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください。