配転とは、職務内容や勤務場所を変更する人事異動です。勤務地が変わらない「配置転換」と、勤務地が変わる「転勤」があります。
一般的に、会社は配転を命じる権利を有し、比較的裁量は広いです。もっとも、不当な目的があった、従業員への不利益が大きいといったケースでは、無効になる場合もあります。トラブルを避けるために、あらかじめ問題がないかを確認してから行うようにしましょう。
今回は、配転について、意味や無効とされるケース、実施する際の注意点などを解説しています。従業員の配転を行う会社の経営者や人事労務担当者の皆様に知っていただきたい内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
人事異動に関する一般的な知識は、以下の記事で解説しています。
参考記事:配転・出向・転籍の意味と要件を会社側弁護士が解説

配転とは、職務内容や勤務場所を変更する人事異動です。「配置換え」とも呼ばれます。
数日、長くても数週間で終わる出張とは異なり、長期間にわたって業務内容または勤務地が変更される点が特徴です。
配転は、同じ勤務地で所属部署が変わる「配置転換」と、勤務地が変わる「転勤」に分けられます。実際には、まとめて配置転換と呼ぶなど、厳密に区別されない場合もあるでしょう。
配転は、従業員の適性発見や能力向上、組織の活性化、人員補充・最適化、不正防止などを目的に行われます。わが国では、ジョブローテーションとして配転を行っている会社が多いです。
会社が配転を実施するメリットとしては、以下が挙げられます。
反面、次のデメリットも存在します。
とりわけ、従業員の不利益があまりに大きいときには、配転が無効とされるおそれがあります。
配転と混同しやすいものとして、出向や転籍があります。
違いをまとめると以下の通りです。
| 配転 | 出向 | 転籍 | |
|---|---|---|---|
| 勤務する会社 | 変わらない | 変わる | 変わる |
| 雇用契約 | 終了しない | 終了しない | 終了する |
配転では勤務する会社は変わらず、会社と従業員との雇用契約も継続するため、出向や転籍と比べると従業員への影響は少ないです。そのため、会社に広い裁量が認められています。
転籍や出向について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
配転と異動の違いがわからない方もいるでしょう。
異動(人事異動)は、配転よりも大きな概念です。
配転も異動の一種ですが、出向や転籍なども異動に含まれます。昇格・降格といったポジション変更も異動に該当します。

配転を実施する前提として、会社が配転命令権を有していなければなりません。
通常は、就業規則に一般的な規定が置かれています。「業務の都合により、配置転換、転勤を命じることがある」といった規定です。多くのケースで会社の配転命令権は存在しており、あまり問題になりません。
会社に配転命令権があれば、個々の従業員に同意を得なくとも配転を命じることができ、従業員は拒否できないのが原則です。

配転命令が無効となるケースとしては、以下が挙げられます。
無効になるケースについて詳しくは、以下の記事をお読みください。
参考記事:転勤を拒否した従業員を解雇できる?会社がすべき対応を弁護士が解説

配転を実施する際には、事前に問題になりそうな点がないかを確認しておきましょう。法的トラブルを予防するためです。
たとえば、家族を介護する立場にある、子どもが重病を抱えているといったケースでは、引っ越しを要する転勤をさせれば従業員への負担が大きいです。争われた際に無効と判断されるリスクがあります。また、職種や勤務地が限定されていないかにも注意が必要です。
配転については会社に裁量が認められており、単に通勤時間が長くなる、単身赴任になるといっただけでは、従業員は通常拒否できません。しかし、従業員への影響が大きいときにはトラブルになりやすいです。
配転で法的問題が発生しないよう、配慮すべき事情がないかを、日頃から把握しておくようにしてください。あらかじめ事情や希望を聴いたうえで、可能な範囲で従業員の意向に沿って実施するのがよいでしょう。
近年は勤務地変更を嫌がる従業員が増えており、転勤を拒否する従業員もいます。拒否されたからといって、安易に解雇してはなりません。
解雇は法的ハードルが高いです。解雇が無効とされると、復職させたうえでバックペイの支払いを強いられます。トラブルになると会社に与える影響が大きいため、慎重に検討するようにしてください。
解雇について詳しくは、以下の記事で解説しています。
参考記事:解雇とは?退職勧奨とは?両者の違いや注意すべき点を会社側弁護士が解説
問題社員への対応策として、配転を利用する場合があります。
たとえば、能力不足の従業員を配置転換して適性を試す、ハラスメント加害者を被害者と接触させないために別の部署に異動させるといったケースです。たとえ問題社員でもいきなり解雇するのは法的リスクが高いため、配転が有力な選択肢となります。
問題社員対応について詳しくは、以下の記事をお読みください。
参考記事:問題社員・モンスター社員への対応のポイントを弁護士が解説

ここまで、配転について、意味や無効とされるケース、注意点などを解説してきました。
配転は、業務内容や勤務地の変更です。同じ勤務地で部署が変わる「配置転換」と、勤務地が変わる「転勤」に分けられます。
配転については、会社に比較的広い裁量が認められています。とはいえ、職種や勤務地が限定されていた、従業員への不利益が大きいといったケースでは無効になるおそれがあります。事前に問題がないかを確認して実施するようにしましょう。
配転に関してお悩みの方は、弁護士法人ダーウィン法律事務所までご相談ください。
当事務所は、会社の経営者や人事担当者の皆様の味方です。ご相談いただければ、法的に有効かを判断するとともに、既にトラブルになっているときは迅速に対応いたします。
「配転を拒否する従業員とトラブルになっている」などとお困りの会社関係者の方は、お気軽に弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください。